女優・樹木希林さんが、
9月15日に、都内の自宅で亡くなった。
75歳だった。
世間は大騒ぎしているが、
私自身は、(ちょっと薄情かもしれないが)あまり悲しみはない。
なぜ悲しみがないかといえば、
樹木希林という女優の老いてゆく姿をスクリーンでしっかり見させてもらったからだ。
5年前に全身のがんであることを公表してからは、
「覚悟はできている」
と語っていた。
覚悟ができた人間は強い。
『万引き家族』出演後には、次のように語っていた。
「女優がそんなことをするのは、ヌードになるより恥ずかしいことですよ」って人に言われた。入れ歯をはずしたのよ。映画「万引き家族」で。髪の毛もだらぁと長くして、気味悪いおばあさんでしょう?
自分の顔に飽きたの。是枝(裕和)監督の作品に出るのも、これが最後だと思ったから提案したわけ。私ももう後期高齢者で、店じまいを考えないといけない時期ですから。
それに、人間が老いていく、壊れていく姿というのも見せたかった。高齢者と生活する人も少なくなって、いまはそういうのをみんな知らないでしょう? 映画のなかで、みかんにかぶりつく姿がすごいと言う人もいるけれど、実を歯ぐきでしごいたの。歯がないって、そういうことなのよ。
私自身は、ピンピンコロリで死にたいと思っているが、
老いて壊れていく姿を、子供たちや孫たちに見せるのも“親の務め”ではないかとも思っている。
私の父も母もそうやって死んでいった。
樹木希林という女優は、
人間が老いていく姿、壊れていく姿をスクリーンでずっと見せてくれていた。
だから、観客である私には、あまり悲しみはないのだ。
樹木希林という女優をしっかり「見届けた」と思っているからだ。
〈とうとう逝かれたか……〉
という感慨があるのみ。
だから、このブログにも何も書かずにおこうかと思っていた。
だが、彼女の出演作(のレビュー)へのアクセスが多くなった。
樹木希林の出演作を検索し、
ブログ「一日の王」へ行きついているようなのだ。
そこで、2010年あたりからの出演作を列記し、
(タイトルをクリックすると)レビューを読むことができるようにしてみようかと思った。
私自身もレビューを読み返し、樹木希林という稀有な女優を偲んでみたい。
『悪人』(2010年)

『奇跡』(2011年)

『わが母の記』(2012年)

『そして父になる』(2013年)

『駆込み女と駆出し男』(2015年)

『あん』(2015年)

『海街diary』(2015年)

『海よりもまだ深く』(2016年)

『モリのいる場所』(2018年)

『万引き家族』(2018年)

これから公開される作品もある。
『日日是好日』(2018年10月13日公開予定)だ。





『エリカ38』(2019年公開予定)という作品も控えているようなので、
またスクリーンで会えるのが、楽しみ。
そう、樹木希林という女優に会いたかったら、
出演している映画を見ればいいのだ。
そうすれば、いつでも、好きなときに会えるのだから……
(本番直前の貴重映像↓)