朝、天山を見上げると、山頂は雲に覆われていた。
天気予報は「晴れ」と言っていたが、
この様子だと、天山は、今日一日、ガスっているに違いない。
天山山頂の秋の花はもうほとんど終わっているし、
平日だし、ガスっているし、
〈こんな日は誰も天山には登らないだろう……〉
と考え、天山に登ることにした。(笑)
秋の花が咲き揃った9月22日に登って以来、
一ヶ月以上も天山には登っていなかった。
賑やかな天山は苦手なのだ。
秋の花がほぼ終わり、
静けさが戻った天山こそが、「私の天山」なのだ。
今日は、ひとりの山を存分に楽しむことにしよう。
そして、
〈天山の秋の花にさよならを告げてこよう……〉
そう思った。
雰囲気の好い道を歩いて行く。

私ひとりだけが歩いている。

足もとには落葉。

キノコもたくさん。

稜線に出ると、秋色が……

ノダケがまだ咲いていたし、

なんとスミレも顔を出していた。

山頂が近くなると、ガスってきた。

季節を間違えたヤマツツジが咲いている。

ツルリンドウや、

リンドウが、私を待っていてくれた。

ありがとう。

いいね~

ヒメアザミや、

モウセンゴケは、
ガスっているのが嬉しそうだ。

ホソバノヤマハハコは、
花期を終えていた。

タンナトリカブトも、

イタドリも、
姿を変えていた。

マツムシソウも皆を楽しませてくれた。
「ありがとう、そして、さようなら」

天山南壁を撮影し、

山頂に戻っていたとき、
思いがけない人に出会った。

それは、tachiaoiさん。
お友達と二人で登ってきたとのこと。
「こんな日は、もしかしてタクさんに会えるかもしれない」
と話しながら歩いていたら、本当に出会ったので、ビックリしたそうだ。
tachiaoiさんとは、なんと、2年前に、北アルプスの剱岳山頂でも出会っているのだ。
私にとってもビックリの出会いであった。

話を聞いてみると、
今日はまだリンドウにしか出逢っていないとのこと。
稜線の花はほとんど終わっているし、
このまま(寂しい思いのまま)、お二人を長崎に帰すわけにはいかない。(な~んちゃって)
「では、私が秘密の散歩道をご案内しましょう」
とガイドをさせてもらうことにした。
いざ、出発。

まず最初に向かったのは、レイジンソウの群生地。
レイジンソウの咲く場所は、10箇所ほど知っているが、
早く咲く場所と、遅く咲く場所がある。
もうほとんどの場所が終わっているので、
今日は、最も遅く咲く場所へ案内する。
それでも本当に咲いているか心配していたのだが……
咲いていたので、一安心。

tachiaoiさんとお友達の方にも、大変喜んでもらえた。

咲いててくれて、ありがとう。

ジンジソウも咲いていてくれた。

「不思議な形の花ですね~」
と、お二人。

ミズタビラコや、

タカクマヒキオコシも楽しまれていた。

ガスってはいるが、所々で紅葉や黄葉を見ることができた。

オタカラコウや、

アキノキリンソウや、

サイヨウシャジンも咲いている。

そして、とっておきの場所へ案内する。

キッコウハグマの群生地だ。

「こんなにたくさん咲いているんですか~」
と、ビックリした様子のお二人。

その不思議な花の形にも驚嘆されていた。

目移りするほど咲いているので、
写真に撮るのに忙しい。


次に案内したのが、サクラタデの群生地。

水滴をつけて、得も言われぬ美しさ。

お二人とも、大喜び。

では、最後の「秘密の花園」へ。

センブリ(まだ咲いてるよ)もいいけど、

本命は、ムラサキセンブリ。

心配したけれど、咲いて待っていてくれた。

いいね~

ゆっくり探しながら歩く。

4弁の花もある。

こっちにも。

ムラサキセンブリの花を見つけては、
大喜びのお二人。

喜んでもらえて、

楽しんでもらえて、

ヨカッタ、ヨカッタ。

まだこんなに咲いているとは思わなかったので、
私も嬉しい。

色の濃いムラサキセンブリ。
今日の一番人気。

たくさんのムラサキセンブリ。

お二人から、「大満足」との言葉を戴いた。

お礼に、tachiaoiさんから、手作りの「栗の渋皮煮」を頂いた。
美味しかった~

帰路、「道の駅 厳木」へ立ち寄った。
「天川集落で作られる “天川コシヒカリ”(特A評価)は、ブランド米の中でも超人気の米なんだよ」
と話したら、お二人が「ぜひ買いたい」と仰ったので、やってきたのだ。

お二人は、
最高級の「天川産極上こしひかり 特別栽培棚田米」を購入された。

私は、ちょっと安い方を。(笑)

お二人のお陰で、楽しい山歩きをすることができた。
感謝。
今日も「一日の王」になれました~

