Quantcast
Channel: 一日の王
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1913

映画『金メダル男』……宮崎美子、木村多江、土屋太鳳、清野菜名に逢いたくて……

$
0
0


見たい(ミニシアター系の)映画は多いのだが、
そんな映画は、なかなか佐賀までやって来ない。
いくつか挙げてみると、

7月30日公開の映画『ロング・トレイル!』(佐賀では11月5日公開)
9月10日公開の映画『だれかの木琴』(佐賀では12月10日公開)
9月17日公開の映画『オーバー・フェンス』(佐賀では10月29日公開)
9月22日公開の映画『ある天文学者の恋文』(佐賀では12月17日公開)
10月7日公開の映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』(佐賀では11月26日公開)
10月8日公開の映画『淵に立つ』(佐賀では12月3日公開)
10月14日公開の映画『永い言い訳』(佐賀では11月26日公開)

などであるが、
左側の「主要都市での公開日」と、
右側の「佐賀での公開日」との差をご覧いただきたい。
3ヶ月遅れなどザラで、
それ以上遅れることもある。
若い時に、東京には9年間住んでいたので、
東京の良さも十分に解っているが、
私にとっては佐賀県に住むメリットの方がはるかに多く、
都会に住みたいとはまったく思わないのだが、
映画や演劇や美術展やコンサートなどの文化的環境の差だけは如何ともしがたく、
その点だけは、やはり都会を羨ましく思っている。
ただ、数多く公開される都会の映画環境にいたら、
その多さに圧倒されて、本当は何を見たいのかが分らなくなり、
自分を見失ってしまう恐れもある。
地方に流れてくるまでに淘汰され、
本当に見るべき映画だけが佐賀に到達していると思われるので、
この佐賀の環境が私に合っているのではないかとも考えている。

ミニシアター系の作品はかなり遅れて佐賀に到達するので、
その間に全国一斉公開の映画をよく見るのだが、
全国一斉公開の映画にそれほど見たい作品がない時、
見る映画を決める基準は、私の場合、
「その映画に好きな女優が出演しているか」である。
作家の小林信彦も著書で同じようなことを語っていたように思うが、
好きな女優が出ていれば、
たとえその映画がハズレでも、損をした気にはならない。
好きな女優を見ることができたという満足感が、
「損をした」という気分を上回るからだ。
今回も、「私の好きな女優が出演している」という理由で映画を選んだ。
それが『金メダル男』である。


「ウッチャンナンチャン」の内村光良が3年ぶりに手がけた監督作で、
原作・脚本・主演も務めたコメディドラマ。


2011年に東京・サンシャイン劇場で上演された内村の1人舞台「東京オリンピック生まれの男」をもとに、
あらゆる一等賞を獲ることに挑み続ける男の、おかしくも切ない人生を描いている。
内村扮ふんする主人公の青年時代を「Hey! Say! JUMP」の知念侑李が演じるほか、
共演に、ムロツヨシ、笑福亭鶴瓶、大泉洋、平泉成、竹中直人、田中直樹、ユースケ・サンタマリア、マキタスポーツ、高嶋政宏、温水洋一、加藤諒、柄本時生など、
個性豊かなメンバーが出演している。
そして、女優陣。
宮崎美子、木村多江、長澤まさみ、土屋太鳳、上白石萌歌、大友花恋、清野菜名、山崎紘菜、森川葵など、
私の好きな女優、私が期待している女優が勢揃いしている。
それぞれの出演シーンはそれほど多くはないだろうが、
期待しつつ、映画館へ足を運んだのだった。



1964年、
東京オリンピックの開催に向けて日本中が沸き立つ中、
秋田泉一という男が長野県塩尻市に誕生する。
ごく普通の少年として育っていた彼は、小学校の運動会で行われた徒競走で一等になる。
一等賞というものが与えてくれる、いいようのない幸福感のとりこになってしまった彼は、
それをきっかけにさまざまな分野で一等賞を取ろうと決意。
書道、絵画、火起こし、大声コンテスト、マスのつかみ取りなど、
大会やコンクールに片っ端から参加しては一等賞に輝く。
いつしか「塩尻の神童」と呼ばれるようになった彼は、
その後もすべての金メダルを獲るべく奮闘を続けるが……



映画の出だしは物凄く良かった。
平泉成と宮崎美子が20代から70代までを演じるのだが、(爆)


この二人が(あきらかにそれと判る)カツラをつけて登場し、
小学生時代の秋田泉一(大西利空)が運動会で一等賞になって金メダルをもらい、
書道、絵画、火起こし、大声コンテスト、マスのつかみ取りなどでも一等賞を獲得し、
大活躍する序盤は、すこぶる良かった。
中学生、高校生時代の泉一(知念侑李)になると、
序盤のテンポの良さが失われ、やや失速する。
水泳、剣道、陸上競技、バスケットボールなど、
何をやっても一等賞が獲れなくなり、
映画的にも、やや間延びした演出となっている。
(正直、退屈であった)
そして、大人になった泉一(内村光良)が登場し、
さらに元アイドルで敏腕マネージャー亀谷頼子(木村多江)が登場するに及んで、
この映画は再び活気を取り戻す。


私は、内村光良監督の前作『ボクたちの交換日記』(2013年3月23日公開)も映画館で見ている。(これも長澤まさみと木村文乃を目当てで見に行った)
映画監督デビュー作『ピーナッツ』よりも作品的に良くなっていたし、
このブログでもレビューを書こうかなと思っていたのだが、
書く機会を逸し、後にちょっと後悔したことを覚えている。
内村光良監督第3作となった『金メダル男』は、
第2作目の『ボクたちの交換日記』よりは、質的にやや劣るような気がした。
『金メダル男』は、日本版『フォレスト・ガンプ/一期一会』といった感じで、
部分的には面白いのだが、
全体的に俯瞰すると、やはり、まとまりに欠け、締まりのない作品になっている。
超多忙な内村光良であるし、
時間的な制約や、内容を練れなかったこともあったとは思うが、
それは言い訳にはならない。
ただ、先ほども述べたように、部分的には面白い。
コント集のような感じなので、
NHKの『LIFE!〜人生に捧げるコント』を観ている感じで鑑賞すると、
それなりに楽しめる。
コントのそれぞれのゲストが、宮崎美子、木村多江、長澤まさみ、土屋太鳳、上白石萌歌、大友花恋、清野菜名、山崎紘菜、森川葵などの女優陣ということで考えると、
ちょっと贅沢な気分が味わえる。



泉一の母・秋田房江を演じた宮崎美子。


昔はグラビアアイドル的存在で、若者に大人気であったし、
その面影も失われてはいないので、実に魅力的だ。
演技も上手く、『悪人』(2010年)での好演も忘れがたい。
本作のようなコメディドラマでも実力を発揮し、
平泉成と共に、本作をしっかり支えている。



元アイドルで敏腕マネージャーの亀谷頼子を演じた木村多江。


(私の木村多江への思いはコチラから)
本作『金メダル男』では、
いろんな木村多江を楽しむことができる。
酔った木村多江、踊る木村多江、漫才をする木村多江、ジャージ姿の木村多江など、
木村多江ファン垂涎の映像満載だ。



高校の表現部の後輩・横井みどりを演じた土屋太鳳。


今年(2016)の10月11日に放送されたTBS「オールスター感謝祭」のマラソンで、
失神寸前になるまで激走していたのが記憶に新しい彼女だが、
何事にも一所懸命で、一途な感じが素晴らしい。
本作では、知念侑李と「鳥の求愛」を表現するダンスを一緒に踊る場面があるので、
そのシーンを見逃さないように……



水泳部の先輩・黒木よう子を演じた上白石萌歌。


私としては、
2014年公開の映画『舞妓はレディ』で主演した姉の上白石萌音のファンであるが、
妹の上白石萌歌も常に気になる存在。
内村光良がMCを務める「痛快TV スカッとジャパン」などにも出演しているが、
本作の出演シーンは、その番組の「胸キュンスカッと」的な感じ。
出演時間は短いが、鮮烈な印象を残している。



アイドルの北条頼子を演じた清野菜名。


内村光良が作詞作曲に携わった劇中歌「私のサンクチュアリ」を歌っており、
その姿は、まさにアイドル。
どこか河合奈保子や山口百恵を彷彿とさせる。
この歌唱シーンは、必見。



剣道の対戦相手・間宮凛子を演じた大友花恋。


『案山子とラケット 〜亜季と珠子の夏休み〜』(2015年4月4日公開)での好演が記憶に新しいが、本作でも出演シーンは短いものの、泉一の剣道相手を爽やかに演じている。
『案山子とラケット 〜亜季と珠子の夏休み〜』でW主演していた平祐奈と共に、
いつも応援していたい存在。



「劇団 和洋折衷」の先輩・篠宮亜紀を演じた森川葵。
『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年1月18日~3月21日、フジテレビ)での市村小夏役が強烈に印象に残っているが、
本当に演技力があり、今後に期待を抱かせる女優。
こんな素晴らしい女優を、出演シーンの短い脇役で使っているという贅沢。



謎の美女・橋本めぐみを演じた山崎紘菜。
目がイイ。
スタイルもイイ。
こんな女性なら騙されてもイイと思わせる雰囲気を持っている。
(実際、映画の主人公・泉一は騙される)



高校の美術教師・佐野先生を演じた長澤まさみ。
内村光良監督の前作『ボクたちの交換日記』に続いての出演だが、
友情出演的なもので、出演シーンは短い。
「もう少し見たかった」が私の本音だが、
『グッドモーニングショー』(2016年10月8日公開)で見たばかりなので、
次作以降に期待。
『追憶』(2017年公開予定)、『銀魂』(2017年公開予定)などが控えている。



映画的には、イマイチであったが、
将来性のある女優が多数出演しているので、見る価値は十分にある。
小林信彦は『古い映画と新しい邦画と』のあとがきで、
「皮肉にも、日本映画が面白くなっている。若い女優が次々に出てくるので、その成長を追うだけで楽しく、意味もある」
と語っているが、私もまったく同感。
ミニシアター系の秀作ばかりを見ていると、
どんどん視野は狭くなってくる。
こういう全国一斉公開の映画を見ることによって、
俳優たちの演技の遍歴や、成長具合を知ることができるし、
大きな視野で映画や俳優たちを見ることができるようになる。
そういう意味でも、映画館へ、ぜひぜひ。
エンドロールに流れる桑田佳祐の「君への手紙」も秀逸だよ。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1913

Trending Articles