何度も鑑賞した映画『坂道のアポロン』の上映が終わってしまい、
すっかり迎律子ロス(つまり小松菜奈ロス)に陥ってしまった哀れな私。(笑)
寝ても覚めても小松菜奈の幻影がちらつき、(爆)
小松菜奈の次作を(首を長くして)待っていた。
その小松菜奈が主演する『恋は雨上がりのように』(大泉洋とのW主演)は、
冴えないファミレス店長に片思いをした女子高生の“恋の行方”を描いたもので、
45歳のバツイチ子持ちの店長を、大泉洋が、
17歳の女子高生を、小松菜奈が演ずるという。
美男美女の高校生同士のキラキラした恋愛もの(学園もの)に飽き飽きしていた私は、
中年男に女子高生が恋をするという、
ちょっとありえない設定にワクワクした。(コラコラ)
大泉洋には好感を抱いているし、
清野菜名、磯村勇斗、葉山奨之、松本穂香、山本舞香、濱田マリ、戸次重幸、吉田羊など、
共演陣にも好きな俳優が多い。
監督は、『世界から猫が消えたなら』や『帝一の國』の永井聡。
もう“期待”しかない……と思った。
そして公開初日の6月25日(金)の夕刻、
早めに仕事を切り上げ、映画館へ駆けつけたのだった。

高校2年生の橘あきら(小松菜奈)は、
アキレス腱のケガで陸上の夢を絶たれてしまう。

偶然入ったファミレスで放心しているところに、優しく声をかけてくれたのは、
店長の近藤正己(大泉洋)だった。

それをきっかけにあきらは、ファミレスでのバイトを始める。

バツイチ子持ちで45歳の近藤に密かな恋心を抱いて……

あきらの一見クールな佇まいと17歳という若さに、
好意を持たれているとは思いもしない近藤。
しかし近藤への想いを抑えきれなくなったあきらは、ついに近藤に告白する。

近藤は、そんな真っ直ぐな想いを、そのまま受け止めることもできず……

ケガで陸上の夢を断たれた、真っ直ぐすぎる17歳と、

夢を追い過ぎて離婚されてしまった、冴えない45歳。

人生の“どしゃ降り”のときに出逢った二人が、
諦めていたそれぞれの夢に再び向き合うまでの、
人生の“雨宿り”とも言うべき珠玉のひととき。
やがて、雨が上がり、陽が差してきたとき、
二人はどんな結論を出すのか……

原作は、眉月じゅんの同名コミック。

原作は漫画であるが、
ストーリーは漫画チックではなく、
繊細な片想いの心情を描いたピュアな物語であった。

私は、小松菜奈を見に行ったので、
まずは小松菜奈のことから書き始めたいと思う。
『坂道のアポロン』の迎律子が“静”だとすれば、
『恋は雨上がりのように』の橘あきらは“動”であった。
『恋は雨上がりのように』は、アキレス腱のケガで陸上の夢を絶たれた橘あきらを描いているので、“静”と思われがちだが、
映画を見終わった印象は、“動”であった。
本作は、疾走する小松菜奈の映像で始まり、
途中にも走る小松菜奈の映像が度々挿入される。

その疾走する小松菜奈の姿が、とにかく美しくカッコイイのだ。

たとえば、この動画。(『恋は雨上がりのように』主題歌「フロントメモリー」のMV)必見です。↓
長い脚、躍動する肉体、
若さではちきれんばかりの小松菜奈の魅力がぎっしり詰まっている。


三木孝浩監督は、
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』や『坂道のアポロン』で、
小松菜奈を誰よりも“美しく”撮ったが、
永井聡監督は、
本作『恋は雨上がりのように』で、
小松菜奈を誰よりも“格好良く”撮っている。
その小松菜奈の姿に「惚れ惚れ」する。
何度でも見たくなる。


ちょっとネタバレになるが、
ラストに小松菜奈の顔が大写しになる。
ラストにヒロインの“笑顔”をアップするのはアイドル映画の王道であるが、
本作では、“笑顔”ではなく、小松菜奈の“泣き顔”であった。
このときの小松菜奈の目をよく見てもらいたい。
目が真っ赤なのだ。泣きはらしているのだ。
私がいつも大事にしているのはそのときの感情で、それは小松菜奈としてじゃなく、役の感情です。実はもともと泣くお芝居は苦手で、気持ちを作るのに時間がかかってしまったりするんですが、絶対に妥協したくないなって思っていて。極端に言えばお客さんが見たとき、例え目薬でも分らないかもしれないけど、その後自分はずっと(泣けなかったことを)引きずっていっちゃうと思うし、自分に負けた気がすると思ったんです。(『坂道のアポロン』のパンフレットより)
だから本物の涙しか流さないと、小松菜奈は語っていた。
本作『恋は雨上がりのように』では、
ラストに限らず、泣くシーンが案外多いのだが、
たぶん、ずべてが、本物の涙であろうと思われる。

本作では、小松菜奈のいろいろな表情も楽しむことができる。
前半は、相手を射るような真剣な眼差し、

そして、後半には、やわらかな笑顔も見ることができる。

高校の制服姿、

ファミレスの制服姿、

浴衣姿、

デートでの勝負服姿など、

ファッション面でも楽しませてくれし、
小松菜奈の魅力がぎっしり詰まった作品になっている。

小松菜奈とW主演の大泉洋も、
中年の悲哀を上手く表現していて素晴らしかった。

もともと好きな俳優なので、
『アフタースクール』(2008年5月24日公開)
『探偵はBARにいる』(2011年9月10日公開)
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(2013年5月11日公開)
『探偵はBARにいる3』(2017年12月1日公開)
『青天の霹靂』(2014年5月24日公開)
『駆込み女と駆出し男』(2015年5月16日公開)
など、このブログでレビューを書いている作品も多い。
本作『恋は雨上がりのように』では、
女子高生に恋される冴えない中年男の役ということで、
中年の悲哀を感じさせながらも、
クスッと笑わされるような“おかしみ”を持つキャラクターで、
大泉洋以外は考えられないほどハマっていた。

女子高生と中年男という組み合わせなのに、
いやらしさや、ドロドロしたものが感じられず、
むしろ爽やかな印象が残るのは、
ひとえに大泉洋の演技と人柄に因るところ大である。

橘あきらの親友・喜屋武はるかを演じた清野菜名。

映画では、
『金メダル男』(2016年10月22日公開)
『パーフェクト・レボリューション』(2017年9月29日公開)
などが印象に残っているが、
『パーフェクト・レボリューション』は、
リリー・フランキー、清野菜名、小池栄子、余貴美子など、
私の好きな俳優が出演していたので、
期待して(わざわざ)福岡まで見に行ったのだが、
脚本、演出があまりにも酷く、(コラコラ)
このブログにはレビューを書いていない。
清野菜名はむしろTVドラマでの活躍が目立っており、
主演作『トットちゃん!』(2017年11月1日~12月22日)で黒柳徹子を演じ、
倉本聰脚本の『やすらぎの刻〜道』(2019年4月~2020年3月放送予定)では、
八千草薫とW主演することになっている。
現在放送中のNHKの朝ドラ『半分、青い。』でも
ヒロイン・楡野鈴愛(永野芽郁)と同じ、
秋風羽織(豊川悦司)のアシスタント小宮裕子役を演じており、

毎回楽しみに観ている。
『半分、青い。』では永野芽郁と仲良くなった清野菜名であるが、
『恋は雨上がりのように』でも小松菜奈と幼なじみの役で、
橘あきら(小松菜奈)を心配し、思いやる同級生・喜屋武はるかを巧く演じていた。

橘あきらのアルバイト仲間・西田ユイを演じた松本穂香。

初めて会った吉澤(葉山奨之)に好印象を抱いたり、
近藤(大泉洋)のようなオジサンは”臭い”と思っている、
女子高生として普通の女子高生的感覚を持っている女の子を、
ちょっととぼけたような感じで演じていて素晴らしかった。
auのCM「意識高すぎ!高杉くん」でご存じの方も多いと思うが、

今年(2018年)7月から放送予定のTVドラマ『この世界の片隅に』(TBS系)で、
ヒロイン・北條(浦野)すず役に抜擢されたことで、
今年の後半は、これまでにも増して脚光を浴びることだろう。

演技のセンスが良く、将来が本当に楽しみな女優だ。

橘あきらの母・橘ともよを演じた吉田羊。

13社のCMに起用され、
2016年の「タレントCM起用社数ランキング」で女性部門の首位となって、
初のCM女王に輝き、
男女合わせても単独トップの座に輝いた、
現在、最も脚光を浴びている女優。
ロッテの乳酸菌ショコラのCMでは、
小松菜奈と共演もしているので、仲良しコンビ。

吉田羊自身が小松菜奈のことを「大好き」と公言していたので、
母と娘の役も実によく馴染んでいた。

吉田羊は、現在、
主演映画『ラブ×ドック』(2018年5月11日公開)が公開中だし、
『コーヒーが冷めないうちに』(2018年9月21日公開予定)
『母さんがどんなに僕を嫌いでも』(2018年秋公開予定)
などが控えており、
2作目の主演作『ハナレイ・ベイ』も2018年10月19日に公開予定だ。
これは、村上春樹の小説が原作の映画で、期待できそうな感じ。
今年の秋が楽しみ。

その他、
久保を演じた濱田マリ、

九条ちひろを演じた戸次重幸が、
さすがの演技で、好い味を出していた。

本作の小松菜奈にすっかり魅了されてしまったので、
『坂道のアポロン』同様、
『恋は雨上がりのように』も、何度か見に行くと思う。
一度では書ききれないので、映画を見る度に、
またレビューも書きたいと思っている。
乞うご期待。