セリバオウレンを探してブログに写真を載せるという、
「セリバオウレン・ブーム」というべき現象が起きたのは、
かれこれ10年近く昔のことではなかったか……
ここ数年は、私はセリバオウレンに逢いに行っていないし、
ブログに写真を載せてもいない。
当時さかんに写真を撮っていた人たちも、
今ではあまり話題にもしなくなった。
もともと九州には自生しない花だし、
薬草として畑で栽培されていたものが野生化した逸出植物なので、
それほどの思い入れがある植物ではない。
ただ、花の少ない時期に咲くので、
この2~3年は、また、登山初心者を中心に、
第2次「セリバオウレン・ブーム」が起きているようにも感じる。
多良山系、脊振山系、英彦山、天拝山、四王寺山、五家荘久連子などで写真を撮って、
ブログに掲載している人が、案外増えてきたからだ。
そんな現象を、私は微笑ましく思って見ていた。
先日、ある山で会った登山者から、
「タクさんは、セリバオウレンの花は撮らないのですか?」
と訊かれた。
「私が撮らなくても、多くの人が撮って、ブログに掲載していますから……」
と答えたのだが、
私自身に、もうかつてのようなセリバオウレンに対する興味がないのを認めざるを得なかった。
昨年あたりから、私は自宅から近い山にしか登らないようになった。
プロフィールに書いている通り、私は“岳人”ではないので、
登山以外にもやりたいことが多いし、
残りの人生、登山だけに時間を割くのは勿体ないと思うようになった。
映画はたくさん見たいし、本もたくさん読みたい。
コンサートにも行きたいし、舞台鑑賞もしたい。
片道2時間も3時間もかけて遠征するのは時間の無駄と考えるようになった。
「すでに、行くべき山には行き、見るべき花は見た」という心境と言えばいいか……
天山、八幡岳、作礼山、鬼ノ鼻山があれば十分と思うようになった。
これらの山は、登山口まで30分以内で行くことができる。
歩こうと思えば、自宅からだって歩いて行くことも可能だ。
近くの山へ数十回、数百回と登り、
その山には咲かないと言われていた花を発見する方が、
珍しい花を求めて、九州内を右往左往するより、
何倍も歓びが大きいことを知った。
他人が発見した花を探しに行くというような“珍花ハンター”のような真似はしたくないし、
するつもりもない。
そんな私だから、もしセリバオウレンに逢いに行くにしても、
自宅から30分以内で行ける場所でないと、行く気にならない。
ならば、登吾留山しかあるまい。
登吾留山にセリバオウレンの花が咲くことは、数年前に知った。
でも、足が向かなかったのは、やはり興味が薄れていたからだろう。
先日会った登山者の言葉で、セリバオウレンのことが改めて思い出され、
久しぶりに逢ってみようかと思った。
……ということで、自宅から約20分車を走らせて、
その登吾留山へと向かったのだった。
菜の花がたくさん咲いている。


ナズナもたくさん咲いている。


ホトケノザもたくさん咲いている。


嬉しいことに、もう、ムラサキケマンも咲いていた。

いいね~

いざ、セリバオウレンの森へ。
おっ、たくさん咲いている。

まさに今がピーク。
この登吾留山のセリバオウレンは、どれも何故か美しい。

こんな近くの山に、これほどの群生地があったとは……

雄蕊がまだ開いていない花も美しい。

このくらいが、もっとも美しいかもしれない。


いいね~

いやいや、雄蕊がきれいに開いた花も美しい。

こっちも、いいね~

こんな風に群生している花もイイが、

森の中で、一株、ひっそりと咲いている花もイイ。

そんな花を探して歩く。


美しい~

この森のセリバオウレンは、
これまで見たどのセリバオウレン群生地の花よりも、清楚に感じる。

近寄って見ると、それがよく判る。

穢れを知らない花……

雄蕊が、ほんのりピンクの花もある。

あっちにも、

こっちにも、

美し過ぎる。

セリバオウレンの花を存分に楽しんで、

「セリバオウレンの森」を後にした。

数年ぶりに見たセリバオウレンの花は、
私の心をほんわか温めてくれた。

今日も「一日の王」になれました~


