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第2回 「一日の王」映画賞・日本映画(2015年公開作品)ベストテン

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昨年、創設した「一日の王」映画賞。
ブログ「一日の王」管理人・タクが、
たった一人で極私的に選出する日本でいちばん小さな映画賞だ。

作品賞は、1位から10位まで、ベストテンとして10作を選出、
監督賞、主演女優賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞は、
5名ずつを選出し、
最優秀を、各部門1名ずつを決める。(赤字が最優秀です)

普段、レビューを書くときには点数はつけないし、
あまり映画や俳優に順位はつけたくはないのだが、
まあ、一年に一度のお祭りということで、
気軽に楽しんでもらえたら嬉しい。


【作品賞】(タイトルをクリックするとレビューが読めます)
『ハッピーアワー』


市民参加による「即興演技ワークショップ in Kobe」から誕生した、
演技経験のない4人の素人女性が主役の物語。
主役だけにととまらず、ほとんどの登場人物を演技未経験者がつとめ、
総尺5時間17分というのだから、
見る前は、正直、
〈途中で眠ってしまうかも……〉
と心配した。
だが、一瞬たりとも目が離せないほどの傑作で、
見終わっての感想は、

2015年に公開された日本映画ではNo.1
『ハッピーアワー』を見ずして、2015年の日本映画は語れない……

というものだった。
2015年は、
『ハッピーアワー』が公開された年として長く私の記憶に残ることだろう。



『恋人たち』




『海街diary』




『駆込み女と駆出し男』




『きみはいい子』




『ソロモンの偽証』(「前篇・事件」&「後篇・裁判」)




『あん』




『悼む人』




『起終点駅 ターミナル』




『深夜食堂』



順位とは別に、私の個人的に好きな映画もたくさんあって、
『繕い裁つ人』『味園ユニバース』『くちびるに歌を』『幕が上がる』
『案山子とラケット ~亜季と珠子の夏休み~』『ジヌよさらば かむろば村へ』
『ビリギャル』『新宿スワン』『orange-オレンジ-』
などが強く印象に残っている。
また、映画は見ているのだが、
レビューを書くことができなかった作品として、
『野火』『天空の蜂』『ローリング』『マエストロ!』『岸辺の旅』などがあり、
特に『野火』については「書いておけば良かったな」という思いがある。



【監督賞】
『ハッピーアワー』濱口竜介
『恋人たち』橋口亮輔
『海街diary』是枝裕和.
『駆込み女と駆出し男』原田眞人
『ソロモンの偽証』(「前篇・事件」&「後篇・裁判」)成島出


濱口竜介監督は、
2013年9月から翌年2月まで、
約5ヶ月に渡って「即興演技ワークショップ in Kobe」を開催する。
演技経験不問で市民から参加を募り、
様々な世代の男女17人が参加。
そのほとんどの参加者が演技経験のない人たちだった。
この受講生を主役に据え、映画を撮る。
それが、『ハッピーアワー』。
演技未経験者ばかりを使って、
このような傑作が創り出されたのには、
やはり監督の演出力に由るところが大きい。
監督賞は文句なしの受賞。



【主演女優賞】
『ハッピーアワー』菊池葉月、三原麻衣子、田中幸恵、川村りら
『海街diary』綾瀬はるか
『あん』樹木希林
『起終点駅 ターミナル』本田翼
『幕が上がる』百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、佐々木彩夏、有安杏果


317分もの間、
スクリーンの中の4人と時間を共有していると、
ゆっくりと、迷いながら発せられる彼女たちの一言一言が、
見る者の心に沁みてくる。
これが、実にスリリングだし、深い感動を届けてくれる。
映画を見終えると、
面白いことに、この4人の女性は、見る者と最も近しい存在になっている。
これまでたくさん映画を見てきたが、
こんな感覚は、おそらく初めての経験だった。
彼女たち4人の最優秀主演女優賞も文句なし。



【主演男優賞】
『悼む人』『きみはいい子』高良健吾
『味園ユニバース』渋谷すばる
『新宿スワン』綾野剛
『深夜食堂』小林薫
『起終点駅 ターミナル』佐藤浩市


『悼む人』の印象が強烈で、
映画を鑑賞した当時よりも、
現在の方が、印象がより強くなっている気がする。
時間の経過と共に、印象が薄まっていくのが普通だが、
高良健吾という男優はそうはさせない個性を持っている。
『きみはいい子』でも、鮮烈な印象を残す。
ことに、ラストシーンの演技は、秀逸。
現在放送されている月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』でも素晴らしい演技をしている。
彼の最優秀主演男優賞も文句なし。



【助演女優賞】
『きみはいい子』池脇千鶴
『きみはいい子』喜多道枝
『駆込み女と駆出し男』満島ひかり
『悼む人』石田ゆり子
『新宿スワン』沢尻エリカ


呉美保監督作品には、『そこのみにて光輝く』に続いての出演だが、
前作の主演に対して、本作では脇役。
だが、本作においていちばん輝いていたのは彼女だったのではないかと思われるほど、
池脇千鶴の演技は良かった。
自らも暗い過去を持ちながら、
それでも明るくふるまう彼女に観る者は励まされる。
池脇千鶴の演技も自然で、わざとらしさがなく、秀逸であった。
ラスト近く、
陽子(池脇千鶴)が雅美(尾野真千子)を抱きしめるシーンがあるのだが、
私は涙が止まらなかった。
池脇千鶴は本当に素晴らしい女優だ。



【助演男優賞】
『ハッピーアワー』柴田修兵
『恋人たち』光石研
『起終点駅 ターミナル』中村獅童
『海街diary』加瀬亮
『ジヌよさらば かむろば村へ』阿部サダヲ


最優秀助演男優賞は、
本当は、光石研か中村獅童にしようと思っていたのだが、
最終的に『ハッピーアワー』の柴田修兵に決めた。
「柴田修兵って、誰?」
と思う人がほとんどだと思うが、
映画『ハッピーアワー』を見れば、
この私の選考に賛同してもらえるのではないか……と考える。
また、いつの日か、スクリーンで会えれば……と思っている。


2015年に公開された映画には、
素人同然、あるいは、まったく無名の俳優が出演した作品に優れたものが多かった。
見る者としても、
既成の俳優たちの演技に飽き足らないものを感じていたからだろうか、
『ハッピーアワー』『恋人たち』『ソロモンの偽証』などが実に新鮮に感じられた。
2015年は、映画を愛する者にとって、とても楽しい一年であった。
2016年はすでに3月に入っているが、
今年も見たい作品が目白押し状態である。
見た作品は、できるだけレビューを書きたいと思っている。
乞うご期待!

※第39回日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受賞した、安藤サクラ主演の『百円の恋』は、2014年12月公開だったので、【第1回 「一日の王」映画賞・日本映画(2015年公開作品)ベストテン】の方にランクインしています。レビューはコチラからご覧ください。

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